秋雨の顛末12(行かずの国東ツーレポ)
著作・製作 Hanajinさん  Hanajinさんってどんな人?



「来ると思ってたよ」私の最初の挨拶。
少し照れたような色が浮かぶ。

Iさんの様子を訊く。
怪我の方は右手に添木をしているくらいの単純骨折。
だが、向こうとの話がまだついていないという。
バイクも静岡に送り返し、列車で帰郷する予定だということだ。
中途で日本一周を断念せざるを得ない無念さがしんちゃんの言葉から伝わってくるようだ。

しんちゃんがたまさんから預かってきた写真をさっちんに渡す。
地鶏ツーの写真だ。私も見せてもらった。


あとはkazuさんとsugakiさんを待つのみ。

しんちゃんがさっちんのバイクを見ていて、「あっ釘が刺さってる」と声を上げた。
みんな集まる。
みごとに刺さっている。
それも刺さってからもかなり走ったのか、頭が削れて本体(と言っていいのか?)の部分が顔を出している。よく見るともう一本、細い釘が顔を覗かせている。

「良かったね、今見つかって、みんながいないときに分かっても修理のしようがないよ」と皆が言う。

「刺さったままでもしばらく走れるでしょう」これはさっちんのせりふだったか、どうか忘れたが・・。

ともかく修理。しんちゃんが役に立った。
このために来たのではないこと思った。
手早く修理キットを出して作業を始める。慣れた手つきだ。
修理の方法は分かっていても何度もやっていないとこうは上手くいかない。
2箇所を治すのに10分もかかったろうか。

この間にkazuさんが到着。ユースのマスターに空気入れを借りて空気圧調整。

kazuさんはセローで来ていた。佐賀からかなりの距離だ。
しかしこんなところを走るのはオフのほうがふさわしいかもしれないと思う。

sugakiさんはなかなか到着しない
。一人でこんな遠くまで来るのは初めてでは?と思う。
それも高速で熊本辺りで下りて下道を来るのでは大変だろう。
誰かが電話する。どこかのP・Aから誰かの携帯にメールが入ったのまでは確認しているがその後は分からない。

少し焦燥感が皆の表情に漂う。
瀬の本から黒川に抜ける国道の方を皆が首を長くして見ている。
外にいる者で焦っていないのはつながれた山羊だけだ。

見えた!sugakiさんだ。
彼女は一瞬躊躇うように上り口の方を見て、そして走り去った。
kazuさんが車体の軽さを利して、早速追いかける。

数分の後、kazuさんが現れる。そしてそのあとをsugakiさんが・・。
と、砂利道の途中でkazuさんが転倒。
どう考えても何でもないところなのに・・、と思っているうちにすぐに起き上がった。
何かタイミングが悪かったのかなぁと思う。
たいしたことはなかったようだ。


ようやく今日のメンバーが揃った。11時半ごろだった。
sugakiさんの表情にも安堵感が溢れている。

遠くからやってきて仲間の顔をようやく見ることができた。
高速では今までの最高速度で飛ばしてきたらしい。
「人を待たせていても焦ってはだめだよ。人は待ってくれます。一番大事なのは命だから。」とあたりまえのことを言う。
あたりまえのことが出来ないときに事故は忍び寄るものだ。


ひとしきり話が弾む。
しんちゃんが来てくれるとは思っていなかったらしく、sugakiさんは1・5倍くらいのにこやかな表情だ。
sugakiさんがいなければだれもしんちゃんを知ることはなかった。

この一年の私の出会いも本当の偶然の積み重ねだ。
お互いの人生の中で、知り合い打ち解けることは至難の業だ。
そんな出会いを作ってくれたバイクと仲間たちに乾杯したいくらいだ。


続く・・・