「左右よし、後方よし、発車！」

○へたくそ広場は恐怖の広場

どこのゲレンデでもそうでしょう、ハウスのすぐ近くには必ずと言っていいほどへたくそ収容広場があります。

ほんというと、私もここの収容対象人員なんでしょうが、ちょっとここはとても恐ろしくて滑れません。

中には、見た目ＣＯＯＬなオークレイサングラスの茶髪にいちゃんも、この収容所で無事更正すべく、ボードの上で「カルメン」を踊ってますし。
その横ではかっこいい白人の外人さんが「うでぐるぐる体操」しながら英語で悲鳴をあげながらも、徐行運転しています。

「卒検はまだだな・・・でも、外人さんでボードがへったってなんか許せないよねー」
「でもスナックのカラオケで、音程はずしてマイウエイ歌ってる外人さんよりはいいんじゃない？」

どうも、おやじ世代には、「外人＝すごいやつ」みたいな意識があります。
なーんて、自分もまだ第１段階見極め前だってのに勝手なことをのたまう。これそ、おやじの証でしょう！

当然、そんな危険区域には「並」以上の人は近づくはずもありません。そう誰も・・いや・・・ある人種をのぞいては・・」
ある人種・・・それはお子様特攻隊です。

ふと目を上げると、収容所の上から、黒い物体がまっすぐ収容所を貫いて来ています。

「あれ、そりかな・・」

よく見るとスキーの板を肩幅以上にあけ、微動だにせずただ下る物体が・・・・「あ！小学生だ！」

「おい、あれ、作り物かな。きっとだれかが何処かでリモコンで操縦してるんだぜ」

※注！！ある知り合い（上手い人）は、友人を先に滑らせ、それを見ながら、後ろでリモコン操作をするのが得意だそうです。

　

○リモコンそりと接触！

スキーとボードではターンの度合いが全然ちがうんですね。まあ、スキーが蛇行シュプールなら、ボードは左右のふりこシュプール。
だから、スキーヤーとのニアミスも多くなります。

で、一応、安全確認したあと、ほぼゲレンデを横切る形で滑っていると、まるでステルス機のように音も気配もなくリモコン小僧が近づいてきます。

「あっ！」と思った時にはリモコン小僧の方足は私のボードの上を滑り、５メートルほどすすんでコテンと倒れました。

「僕大丈夫！」と声をかけるがはやいか、リモコン小僧は一言も話さす、すぐに立ち上がり、またリモコン滑走を始めます。
なんかに取り付かれているか・・それともやっぱりリモコン操作なのか・・・

明日のスキー業界は明るい・・・

　

○生まれて初めての人身事故

とうとう遭遇しちゃいました。人身事故！といってもやられた方だけど。

芸北国際はあんまり詳しくないいんですよね。私。
で、知らないところを滑ってたら、それこそ下が見えないような急斜面がありまして。「どのくらいの傾斜かなーうわっすげー、やばいから戻ろう。」・・・と思ったときにはもう私には下る以外の選択肢は残されていない状態でした。

斜面にはボーダー＆スキーヤーが数人、途中のこぶに引っかかってあえいでます。しかたがないので、バックサイドスリップでこの場をしのごう・・と、ずりずりしてました。

そう、中ほどに来たとき、背後から「うわぁ　あー　あー」と声がします。それが何を意味するのか私には分かっていますが、その方向を振り返る余裕はありません。まあ、振り返ったとしても今の私にはただ、サイドスリップを続けるしか道はありませんが・・。

だんだん声が近づき、「来た！」と思った瞬間、雪しぶきとともにスキーの板だけが私の顔の横を飛んで行きます。「うわ、やべー」と思った瞬間、雪しぶきにまみれたスキーヤーがひっくり返ったまま「すみませーーん」の掛け声とともに私の横を飛んで行き、まだ、足に付いているスキー板で、私の背中を「ぺちっ」と叩きながら。

ずっでーん！　ごろごろ。っまだ止まらない！・・まだ止まらない！・・・まだ・・こぶにしがみついて・・・やっと止まった。

ぶつかったスキーヤーを見てみると。彼は頭を斜面下に向けて、足でこぶに捕まっったまま「すいません。大丈夫ですか？」
そのスキーヤーを見てみると・・・額に傷がついて、ちょっとだけど血がにじんでるじゃないですか！　　うわー愛と誠やん！

「いえいえ、こっちは大丈夫ですよ、それより、あなた、血がでてますよ。大丈夫ですか、あわわわ・・・・」また２人で１メートルほど落下
「私は大丈夫なんですけど、あなたは、体痛くありませんか？」

やっぱり、誠が悪いと思ったんでしょう。しきりと私の体を気遣ってくれます。（愛のキャストは私）

愛：「いやー大丈夫です。でも、この傾斜すごいですねー」
誠：「ほんと、こんなコースむちゃくちゃですね。」まじで誠は怒ってます。
愛：「いやーここは普通の人はすべれませんよ」
と話している横をリモコン小僧が駆け抜けていった・・・